レジリエントな都市の実現に向けた「建物機能継続計画」の標準化

増田教授は、地域社会が切実に求める「災害に負けない都市」とは、被害の最小化に加えて、被災から立ち直る回復力を備えた都市だと考える。日常生活への早期復帰こそが住民や企業の求める切実なニーズであり、そのようなしなやかな強さを備えたレジリエントな建築・都市を実現するための方策について研究をしている。

災害時にも建物の機能が維持されることで、はじめて生活や業務の継続が可能と考え、各施設において「建物機能継続計画」を策定し、生活の拠点や重要業務拠点、重要生産拠点となる建物の機能を災害時においても適切に維持するための総合的な災害対策を実施することが重要であることを、新しいレジリエンス工学(注)の視点で論じた。

「レジリエンスとは『環境変化を乗り越える力』を表す新しい概念であり、サスティナビリティ(持続可能性)の柱となる重要な概念です。建築・都市工学分野において、災害に対するレジリエンス、エネルギーシステムのレジリエンス、都市環境のレジリエンス等、レジリエンスの視点で、さまざまな新しい研究を展開していきたいと考えています」と今後の展望を語った。

(注)レジリエンスとは「環境変化を乗り越える力」を表す新しい概念のこと。建築・都市システムや環境システム、生態系システム、コンピュータシステムなど、組織やコミュニティ等に代表される複雑なシステムが、環境の急激な変化や困難な状況に直面した際にも、難局を切り抜けて生き残り、回復することのできる能力と考えることができる。さらには、試練を克服することで進化・深化し、適応し、成長する能力であり、システムが新しい均衡点に向けて動いていくしなやかな強さを意味する言葉として捉えることができる。